富士フイルムは、一眼レフスタイルの「FUJIFILM X-T2」とレンジファインダースタイルの「FUJIFILM X-Pro2」によるダブルフラッグシップ体制を取っています。しかし、「FUJIFILM X-H1」が発表されたことで、一眼レフスタイルのフラッグシップ機は「FUJIFILM X-T2」から「FUJIFILM X-H1」に置き換わると思われます。
共通の機能
- 「X-H1」と「X-T2」はどちらも、モアレや偽色を抑制しながらもローパスフィルターレス仕様で高い解像力を実現する独自の「X-Trans CMOS III」センサー、画像処理エンジンの「X-Processor Pro」、横位置時に上下にチルト・縦位置時に上方向にチルトすることができる「3方向チルト式モニター」、電子シャッター時に14コマ/秒・VPB-XH1装着時に11コマ/秒・メカニカルシャッター時に8コマ/秒の連写性能などが同じ特徴になっています。
外観・デザイン
- 【サブ液晶モニター】
「X-H1」は上部の右肩に1.28インチのステータスLCDが搭載されています。ミドルクラス以上のデジタル一眼レフカメラに搭載されることが多い情報表示パネルで、現在の設定をすぐに確認することができます。 - 【グリップ部とシャッターボタン】
「X-H1」は「X-T2」よりも遥かに大型のグリップを採用することで、高いホールド性能を実現しています。シャッターボタンはリーフスプリング式のスイッチで、繊細なレリーズ動作に対応する「フェザータッチシャッター」ボタンにより優れたレリーズ性能を実現しています。 - 【AF-ONボタン】
「X-H1」は背面の中央上部に親指オートフォーカスが可能な「AF-ONボタン」が追加されています。また、「X-H1」の背面に設置されているボタンは「X-T2」よりも大型化しているので押しやすくなっています。 - 【電子ビューファインダー】
「X-T2」は236万ドット・35mm換算で倍率0.77倍のEVFを搭載していましたが、「X-H1」は369万ドット・35mm換算で倍率0.75倍のEVFになりました。「X-H1」の最大輝度は従来の1.6倍に向上し、ファインダーとモニター表示を切り替えるアイセンサーのレスポンスは約2倍に改善しました。 - 【タフネス性能】
「X-H1」と「X-T2」はどちらもボディにマグネシウム合金が採用されていますが、「X-H1」は従来よりもマグネシウム合金の厚みが25%アップしています。また、マウント部の取り付け構造が改善し、外装の塗装は粒度を高めることで表面硬度8H相当の対擦り傷性を実現しています。 - 【タッチパネル】
「X-T2」はタッチパネルに非対応でしたが、「X-H1」は対応しています。「X-H1」は動画撮影時に「動画サイレント操作」を使用することができ、絞り・シャッタースピード・ISO感度・ホワイトバランスなどの設定をタッチ操作のみで静かに変更することができます。 - 【サイズ】
「X-H1」は「X-T2」より、幅が7.3mm、高さが5.5mm、奥行きが36.3mm、質量が166g、大きく重くなっています。奥行きはグリップが大型したために大きくなり、本体の厚みも少し増しています。ボディ内手ブレ補正を大型ヒートシンクを搭載したために「X-H1」は大型化したと思われます。
追加した機能
- 【ボディ内手ブレ補正】
「X-H1」はXシリーズで初めてボディ内手ブレ補正が搭載されています。3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサー、専用デュアルプロセッサーが毎秒約1万回の高速演算と補正動作を行います。5軸の補正に対応し、最大5.5段分の補正効果を実現します。 - 【フリッカー低減機能】
「X-H1」は蛍光灯などの照明によるチラツキを低減できる「フリッカー低減機能」に対応しています。インドアスポーツ撮影時などに露出や色のばらつきを抑えることができます。 - 【フィルムシミュレーション「ETERNA」】
「X-H1」はフィルムシミュレーション機能に「ETERNA(エテルナ)」が追加されています。映画用撮影フィルムをシミュレートしたもので、落ち着いた発色と豊かなシャドウトーンで動画撮影に適しています。静止画でも使用可能です。 - 【Bluetooth】
「X-H1」は「Bluetooth」機能が追加されたことでスマートフォンと常時接続が可能です。カメラで撮影した写真をスマホに自動転送することができます。
向上した機能
- 【シャッターショックの軽減】
「X-H1」はシャッターショックを吸収するサスペンションを設置した「シャッター衝撃吸収構造」により、ブレを極限まで抑制することができます。Xシリーズ史上最も静かなシャッター音を実現し、手ブレ補正効果を最大化しています。 - 【オートフォーカス性能】
「X-H1」は像面位相差AFのオートフォーカス性能が向上しています。暗所でのAF速度と精度、テレコン使用時にも像面位相差AFに対応できるF11の最小絞り、動物の毛並みなど微細なテクスチャも捕捉できるAF、ズーム操作中のAF-C機能(動体追従性能)が向上しています。 - 【動画性能】
「X-T2」は「4K(3840x2160) 30p」の動画撮影に対応していましたが、「X-H1」はさらに「シネマ4K(4096x2160) 24p」「200Mbpsの高ビットレート記録」「音声タイムコード」にも対応しています。「X-H1」はハイスピード動画撮影にも対応し、フルHD(1920x1080)で120pのスローモーション動画が最大6分まで撮影できます。また、「X-H1」は大型のヒートシンクを搭載することで連続動画撮影時間が1.5倍に向上し、バッテリーグリップを装着した「BOOSTモード」時は4KとフルHDで30分の動画撮影が可能です。
富士フイルム 2018-03-01
製品名 | 富士フイルム FUJIFILM X-H1 | 富士フイルム FUJIFILM X-T2 |
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発売日 | 2018年3月01日 | 2016年9月08日 |
価格 | 24万円前後 | 14万円前後 |
シリーズ | FUJIFILM Xシリーズ | |
マウント | フジフイルムX系マウント | |
センサー | APS-C(X-Trans CMOS III 23.5×15.6mm) | |
ローパスフィルター | レス仕様 | |
画像処理エンジン | X-Processor Pro | |
画素数 | 有効画素:2430万画素 | |
最大記憶画素数 | 6000x4000px | |
ISO | 常用:200-12800、拡張:100-51200 | |
連写 | 電子:14コマ/秒、VPB-XH1装着時:11コマ/秒、8コマ/秒、電子先幕:6コマ/秒 | 電子:14コマ/秒、VPB-XT2装着時:11コマ/秒、8コマ/秒 |
連続撮影可能コマ数 | 14コマ/秒時:非圧縮RAWで約23コマ 可逆圧縮RAWで約27コマ JPEGで40コマ | 14コマ/秒時:非圧縮RAWで約25コマ 可逆圧縮RAWで約28コマ JPEGで42コマ |
AF方式 | コントラストAF+像面位相差AF(インテリジェントハイブリッドAF) | |
測距点/AFエリア | 91点(最大325点) | |
低照度限界(像面位相差AF) | EV -1 | EV 0.5(Ver.4.10で-1EVに拡張) |
像面位相差AFが動作する最小絞り | F11 | F8(Ver.4.10でF11に拡大) |
ファインダー | 0.5型有機ELファインダー (369万ドット/視野率100%/35mm換算の倍率0.75倍) 100fps | 0.5型有機ELファインダー (236万ドット/視野率100%/35mm換算の倍率0.77倍) 100/60fps |
アイポイント | 約23mm | |
EVFの表示タイムラグ | 0.005秒 | |
モニター | 3インチ (104万ドット) | |
シャッタースピード(機械式) | 1/8000-30秒 | |
電子先幕シャッター | 1/8000-30秒 | |
電子シャッター | 1/32000-30秒 | |
フラッシュ同調速度 | 1/250秒以下 | |
サイレントシャッター | ○ | |
バルブ撮影 | ○(最長60分) | |
セルフタイマー | 2、10秒 | |
AF最速 | 0.06秒 | |
撮影間隔 | 0.17秒 | |
レリーズタイムラグ | 0.045秒 | |
起動時間 | 0.4秒 | 0.3秒 |
撮影枚数 | 310枚 | 340枚 |
RAW | 14bit、RAF | |
JPEG | ○ | |
TIFF | ||
RAW+JPEG | ○ | |
カメラ内RAW現像 | ○ | 未確認 |
動画 | DCI 4K(4096x2160) 24p、4K(3840x2160) 30p、フルHD(1920x1080) 60p | 4K(3840x2160) 30p、フルHD(1920x1080) 60p |
ハイフレームレート | 120fps(1920x1080) 約6分まで | |
200Mbpsの高ビットレート記録 | ○ | |
ファイル形式 | MOV | |
映像圧縮方式 | MPEG-4 AVC/H.264 | |
音声記録方式 | リニアPCM ステレオ(24bit/48KHzサンプリング) | リニアPCM ステレオ(48KHzサンプリング) |
撮影時間 | 4Kは約15分(ブーストモード時は30分)、フルHDは約20分、HDは約30分 | 4Kは約10分(ブーストモード時は30分)、フルHDは約15分、HDは約30分まで |
Log | F-log | |
ボディ内手ぶれ補正 | 5.5段分 | - |
内蔵フラッシュ | -(EF-X8が付属) | |
防塵防滴仕様 | ○(-10℃耐低温性能にも対応) | |
ゴミ取り機能 | ○ | |
可動式モニター | 3方向チルト | |
タッチパネル | ○ | - |
pictbridge | ||
水準器 | ○(予想) | ○ |
ジョイスティック | ○ | |
顔認識 | ○(瞳AFに対応) | |
英語対応 | 未確認 | |
Wi-Fi | ○ | |
NFC | - | |
GPS | - | |
Bluetooth | ○(4.0) | - |
RAW現像ソフト「FUJIFILM X RAW STUDIO」 | ○ | |
USB充電/給電 | ○(予想) | ○ |
メモリーカード | デュアルSD(SDXC UHS-II) | |
サブモニター(情報表示パネル) | ○ | - |
マグネシウム合金 | ○ | |
バッテリーグリップ | VPB-XH1(ヘッドホン端子あり) | VPB-XT2(ヘッドホン端子あり) |
バッテリーグリップ装着時のブースト(BOOST)モード | ○ | |
幅 | 139.8mm | 132.5mm |
高さ | 97.3mm | 91.8mm |
奥行き | 85.5mm | 49.2mm |
重さ | 623g | 457g |
総重量 | 673g | 507g |
バッテリー | NP-W126S | |
インターフェイス | USB3.0(マイクロB)、マイクロHDMI(タイプD)、シンクロターミナル、ステレオミニジャック(マイク用) |