1つ目は、ピント合わせでレンズ群全体を移動させる「全群繰り出し」方式。(レンズの全長が変化する)
2つ目は、レンズの1番前のレンズ群を繰り出す「前玉フォーカス(前玉フォーカシング)」方式。(レンズの全長が変化する)
3つ目は、レンズ内部のレンズ群を移動させる「インナー(インターナル)フォーカス」または「リアフォーカス」方式のレンズ(レンズの全長が変化しない)
※間違いやすい用語に「インナーズーム」がある。「インナーズーム」は、ズームレンズでズームリングを回しても全長が変化しないレンズ。
「全群繰り出し(全体繰り出し)」方式
メリットは、フォーカスの位置により収差の変化が少ないために画質が安定して優れている。単焦点レンズやマニュアルフォーカス専用レンズに使用されることが多い。デメリットは、レンズの全長が変化するために、レンズ重心が変動してバランスが変わる。望遠レンズには特に不利な場合が多い。
※全群繰り出し方式のレンズでも、可動部が奥にあるために全長が変化しないタイプのレンズもある(例:AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
全群繰り出しの単焦点レンズ
「前玉フォーカス(前群繰り出し、フロントフォーカス、フロントフォーカシング、前玉回転式)」方式
メリットは、構造がシンプルにでき、ズームレンズに使用されることが多い。「全群繰り出し」方式よりオートフォーカス速度は有利。デメリット、レンズの全長が変化するために(「全群繰り出し」よりは少ない)、レンズ重心が変動してバランスが変わる。前玉が回転することがあるため、PLフィルターを取り付ける場合などに操作し難い。
オートフォーカスでレンズが繰り出し、前玉が回転する方式。ボディ内モーターで駆動する方式のため、オートフォーカスの動作音が大きい。
「インナー(インターナル)フォーカス」または「リアフォーカス」方式
インナー(インターナル)フォーカス
レンズ内部の中間部のレンズ群を移動させてピント合わせを行う方式。レンズ後方の後玉が動かない。リアフォーカス
レンズ内部の後方のレンズ群を移動させてピント合わせを行う方式。レンズ後方の後玉が動くことがある。「リアフォーカス」に近いフォーカス方式に「フローティングシステム」がある。「フローティングシステム」は「リアフォーカス」と同様にレンズの全長は変化しないが、レンズの後方の後玉が動くことがある。「リアフォーカス」はレンズ後方の一部のレンズを動かすのに対し、「フローティングシステム」はより多くのレンズを動かしてフォーカスする。インナーフォースのレンズ
リアフォーカス(フローティングシステム)のレンズ
メリット
・軽量なレンズ群を移動させることでオートフォーカスの高速化とマニュアルフォーカスの軽快さ
・レンズの全長が変化しないために、レンズ重心の変動が少なくバランスが良い。特に望遠レンズに有利な場合が多い。
・フィルターを取り付ける前玉が回転しないために、円偏光フィルターの操作性が良い
・レンズ系全体のコンパクト化が可能
・最短撮影距離を短くできる
全群繰り出し | 前玉フォーカス | インナー(インターナル)/リアフォーカス | |
---|---|---|---|
全長 | 変わる | 変わる | 変わらない |
オートフォーカス速度 | △ | ○ | ◎ |
画質 | ◎ | ○ | ○ |
よく使われるレンズのタイプ | 単焦点レンズ | ズームレンズ | 望遠レンズ |