共通の特徴
- 「D850」と「D810」はどちらもプロ・ハイアマチュア向けの「D800シリーズ」のデジタル一眼レフカメラです。「D800シリーズ」は2012年3月22日に初代の「D800」が発売され、2012年4月12日に「D800」のローパスフィルター効果をキャンセルした(ローパスフィルターレス仕様)「D800E」、2014年7月17日に「D800/E」の後継機でローパスフィルターレス仕様に一本化された「D810」が発売されています。「D850」は「D810」と同様にローパスフィルターレス仕様です。「D800シリーズ」は高画素による高画質が最大の特徴になっており、「D850」は「D810」「D800/E」の3600万画素台から一気に向上した4575万画素を実現しています。「D850」は高解像度だけでなく、連続撮影機能も重視したデジタル一眼レフカメラです。
- ローパスフィルターはイメージセンサーに設置されるフィルターです。モアレや偽色などを抑える効果がありますが、解像力が少しだけ落ちるというデメリットもあります。ローパスフィルター効果がないローパスフィルターレス仕様のカメラは、モアレや偽色などが発生し易い場合がありますが、解像力を追求した画像が撮影可能です。
外観・デザイン
- 【チルト式モニターと解像度】
「D810」は固定式の液晶モニターでしたが、「D850」は上下に角度を変えられるチルト式の液晶モニターが搭載されています。画面解像度は122.9万ドットから236万ドットに向上しています。 - 【タッチパネル】
「D810」はタッチパネルに非対応でしたが、「D850」はタッチパネル対応です。 - 【グリップ形状】
「D850」は「D810」よりグリップ部が深くなっており、ホールド感が高まっています。 - 【サブセレクターの追加】
「D850」は背面右上にAFエリアを移動できる「サブセレクター」が追加されています。 - 【AE-L/AF-Lボタンの省略】
「D810」には背面右上に「AE-L/AF-Lボタン」が搭載されていましたが、「D850」では省略されています。 - 【Fn2ボタンの追加】
「D850」は背面左下に機能を割り当てられる「Fn2(ファンクション2)」ボタンが追加されています。 - 【AF補助光ランプの省略】
「D810」は正面左上に「AF補助光ランプ」が搭載され、「セルフタイマーランプ」「赤目軽減ランプ」の機能も兼ねていました。「D850」は同様の箇所に「セルフタイマーランプ」のみが搭載されています。 - 【内蔵フラッシュ】
「D810」は内蔵フラッシュが搭載されていましたが、「D850」は非搭載です。 - 【スロットの変更】
「D810」はSDXCカード(UHS-I)とCFカードのダブルスロットでしたが、「D850」はSDXCカード(UHS-II)とXQDカードのダブルスロットに変更されています。 - 【薄型化】
「D850」は「D810」より、高さが1mm、重さが35gの増加をしています。奥行きは3mm短くなりました。「D850」と「D810」はどちらもモノコック構造ではありません(シャッターユニットとの兼ね合いで非採用になったと思われます)。
追加した機能
- 【RAWサイズの追加】
「D810」はRAWのサイズを「Lサイズ」と「Sサイズ」で選択することができましたが、「D850」は「Lサイズ(4544万画素)」「Mサイズ(2556万画素)」「Sサイズ(1136万画素)」で選択可能です。 - 【電子シャッターとサイレントモード】
「D810」は「静音撮影」によりシャッター音を抑えた撮影ができましたが、「D850」は電子シャッターに対応したことでライブビュー時に無音のサイレント撮影が可能です。約6コマ/秒の連写(AF追従は不可)や、864万画素で約30コマ/秒の高速撮影が可能です。 - 【電子手ブレ補正】
「D850」はフルHDとHD動画撮影時に3方向の手ブレを軽減する「電子手ブレ補正」が使用できます。レンズ内の光学手ブレ補正と組み合わせるとよりブレを効果的に補正できます。 - 【アスペクト比1:1】
「D850」は撮影画像のアスペクト比に1:1が追加されています。 - 【ピクチャーコントロール「オート」】
「D850」はピクチャーコントロールに、カメラ任せで撮影シーンに適した画づくりができる「オート」が追加されています。自然光でのオートホワイトバランスは精度が向上しています。 - 【ホワイトバランス「自然光オート」】
「D850」はホワイトバランスに、自然光下での最適なホワイトバランスができる「自然光オート」が追加されています。 - 【露出平滑化】
「D850」はインターバルタイマー撮影時に、コマ間の露出のチラツキを抑えたり、測光の低輝度限界を-3EVを大幅に超える暗さまで拡張できる「露出平滑化」が利用可能です。 - 【フォーカスシフト】
「D850」は全体にピントが合った画像を作成できる深度合成機能の「フォーカスシフト」が使用できます。ピントをずらした画像を最大300コマまで取得でき、「サイレント撮影」や「露出平滑化」を併用できます。合成するには他社製の編集ソフトが必要になります。 - 【カメラ内のRAW一括現像】
「D850」はカメラ内のRAWを現像する際に、膨大なコマ数でも一括で現像できる一括現像機能が追加されています。パソコンは約3時間掛かる1000コマのRAW現像が、約25分で完了可能です。 - 【AF微調節の自動設定】
「D850」はライブビューを使用して簡単にオートフォーカスの微調整ができる「AF微調節の自動設定」機能が追加されています。 - 【ピンポイントAF】
「D850」は「ノーマルエリアAF」の約4分の1のサイズのフォーカスポイントでピント合わせができる「ピンポイントAF」に対応しています。 - 【フリッカー低減】
「D850」は人工照明下で照明などによるチラツキを抑える「フリッカー低減」機能が追加されています。 - 【ライブビュー時のピーキング】
「D850」はライブビュー時にピントが合った範囲を色付きで表示できる「ピーキング」機能に対応しています。マニュアルフォーカスの際にピント調整が簡単に行えます。 - 【ボタンイルミネーション】
「D850」の背面左側のボタンやレリーズモードダイヤルは透過照明により光ることができます。暗い場所でも簡単に操作することが可能です。 - 【SnapBridge機能】
「D850」はWi-FiとBluetoothに対応したことで、スマートフォンに画像を自動転送するなど連携できる「SnapBridge」機能に対応しています。 - 【ネガフィルムデジタイズ】
「D850」はカラーやモノクロのネガフィルムをデジタルデータに変換できる「ネガフィルムデジタイズ」に対応しています。2017年11月に発売予定の別売り「フィルムデジタイズアダプター ES-2」を使用して利用可能です。「D810」も対応しています。
向上した機能
- 【画質と高感度性能の向上】
「D810」は3635万画素のCMOSセンサーが搭載されていましたが、「D850」は新開発された4545万画素の裏面照射型CMOSセンサーが搭載されています。高感度性能は、「D810」が常用ISO 64-12800・拡張ISO 32-51200でしたが、「D850」は常用ISO 64-25600・拡張ISO 32-102400に向上しています。どちらもローパスフィルターレス仕様です。裏面照射型CMOSセンサーはニコンのデジタル一眼レフカメラでは初となります。 - 【画像処理エンジンと処理速度の向上】
「D810」は画像処理エンジンに「EXPEED 4」が搭載されていましが、「D850」は最新の「EXPEED 5」が搭載されています。新型のイメージセンサーと合わせて、高感度性能や機能全般が向上しています。裏面照射型CMOSセンサーにより、高感度性能が向上しただけでなく、読み出し速度も高速化しています。 - 【RGBセンサーの向上】
「D810」は91kピクセルのRGBセンサーが搭載されていましたが、「D850」は180kピクセルのRGBセンサーに向上しています。EV-3の暗さまで対応できるだけでなく、アドバンストシーン認識システムが洗練されたことで自動制御の精度も向上しています。「180kピクセルRGBセンサー」はプロフェッショナルモデル「D5」と同じものです。 - 【連写性能の向上】
「D810」はFX(フルサイズ)時に約5コマ/秒、DX(APS-C)時に約6コマ/秒、バッテリーグリップ(MB-D12)を装着したDX時に約7コマ/秒、静音連続撮影時に約3コマ/秒の連写性能です。「D850」はボディ単体で約7コマ/秒、バッテリーグリップ(MB-D18)を装着した際に約9コマ/秒、静音連続撮影時に約3コマ/秒の連写が可能になりました。高速読み出しが可能な裏面照射型センサーと最新の「EXPEED 5」により高速処理を実現しています。 - 【機構ブレの低減】
「D810」はニコンのデジタル一眼レフカメラで初めて「シャッターカウンターバランサー」が搭載されています。シャッター先幕とバランサーを逆方向に走行させ、振動を打ち消し合うことで機構ブレを低減することが可能です。 - 【オートフォーカス性能の向上】
「D810」は測距点が51点(クロス:15点)、F5.6対応が15点、F8対応が11点、AF検出範囲がEV-2~19です。「D850」はプロフェッショナルモデル「D5」と同じAFセンサーが搭載され、測距点が153点(選択可能ポイント:55点)、クロス対応が99点(選択可能ポイント:35点)、F5.6対応が37点、F8対応が15点(選択可能ポイント:9点)、AF検出範囲がEV-4~20に向上しています。AFポイントのカバーエリアは130%以上の大きさにアップしました。ピントの合焦を「●」で知らせる「フォーカスエイド」の精度も向上しています。 - 【動画性能の向上】
「D810」はフルHD(1920x1080) 60pまでの動画性能でしたが、「D850」はクロップすることなくフルフレーム(FXベース)で4K UHD(3840x2160) 30pの撮影が可能です。「D5」や「D500」はセンサーの一部をクロップすることで4K動画に対応していましたが、「D850」はセンサー全域を使用しているので暗所などでの画質が向上しています。スーパー35mm相当のDXベースでも記録できます。HDMIケーブルと接続すると、「4:2:2、8bit」や「4K UHD非圧縮ファイル」が同時記録可能です。ハイスピード動画は、フルHDで120fpsのスローモーション動画が撮影できるようになりました。 - 【ファインダー倍率の向上】
「D810」は光学ファインダーの倍率が0.7倍でしたが、「D850」はニコンフルサイズ(FX)機で史上最大となる0.75倍を実現しています。被写体をより大きく確認して心地よい撮影可能です。 - 【8Kのタイムラプス動画】
「D850」はインターバル撮影を使って8Kのタイムラプス動画(8256x5504)を制作することができます。撮影時は電子シャッターによる「サイレントインターバルタイマー撮影」が使用可能です。制作には市販の編集ソフトが必要です。 - 【ハイライト表示】
「D850」と「D810」はゼブラ模様で白飛びを表示できる「ハイライト表示」に対応していますが、「D850」は255-180のレベルでどの程度の表示をするか設定することができます。ゼブラ模様の向きも選択可能です。 - 【バッテリーライフの向上】
「D810」は撮影可能コマ数が約1200コマでしたが、「D850」は約1840コマの低消費電力設計を実現しています。動画は約70分の撮影が可能です。マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」装着時は、静止画が最大約5140コマ、動画が最長約215分の撮影ができます。
製品名 | ニコン D850 | ニコン D810 |
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発売日 | 2017年09月08日 | 2014年07月17日 |
価格 | 36万円前後 | 25万円前後 |
シリーズ | D800シリーズ | |
マウント | ニコンF系マウント | |
センサー | フルサイズ(35.9×23.9mm CMOS 裏面照射型) | フルサイズ(35.9×24mm CMOS) |
ローパスフィルター | レス仕様 | |
画像処理エンジン | EXPEED 5 | EXPEED 4 |
測光方式 | 180kピクセル | 91kピクセル |
総画素数 | 4689万画素 | 3709万画素 |
有効画素数 | 4575万画素 | 3635万画素 |
最大記憶画素数 | 8256x5504px | 7360x4912px |
ISO | 64-25600 | 64-12800 |
拡張ISO | 32-102400 | 32-51200 |
連写 | 7コマ/秒、バッテリーグリップ時:9コマ/秒、静音連続撮影:3コマ/秒 | FX時:5コマ/秒、DX時:6コマ/秒、DX時(バッテリーグリップ):7コマ/秒、静音連続撮影:3コマ/秒 |
連続撮影可能コマ数 | RAWロスレス圧縮14bit:51コマ、RAWロスレス圧縮12bit:170コマ、RAW圧縮12bit:200コマ、RAW圧縮14bit:74コマ、JPEG FINE:200コマ | RAW圧縮12bit:58コマ、RAW圧縮14bit:35コマ、JPEG FINE:100コマ |
AF方式 | 位相差AF、コントラストAF | |
測距点 | 153点(選択可能ポイント:55点)、クロス:99点(選択可能ポイント:35点)、F5.6対応:37点、F8対応:15点(選択可能ポイント:9点) | 51点(クロス:15点)、F5.6対応:15点、F8対応:11点 |
測距輝度範囲 | -4~20 | -2~19 |
ファインダー | ペンタプリズム (視野率100%/倍率0.75倍) | ペンタプリズム (視野率100%/倍率0.7倍) |
アイポイント | 17mm | |
モニター | 3.2インチ (236万ドット) | 3.2インチ (122.9万ドット) |
シャッタースピード | 1/8000-30秒 | |
電子先幕シャッター | ○ | ミラーアップ撮影時 |
電子シャッター | ○ | - |
サイレントシャッター | ライブビュー時 | 静音撮影 |
バルブ撮影 | ○ | |
セルフタイマー | 2、5、10、20秒 | |
撮影枚数 | 1840枚 | 1200枚 |
RAW | RAW12ビット/14ビット(ロスレス圧縮、圧縮、非圧縮)、サイズL/M/S | RAW12ビット/14ビット(ロスレス圧縮、圧縮、非圧縮)、サイズL/S |
JPEG | ○ | |
TIFF | ○ | |
RAW+JPEG | ○ | |
動画 | 4K UHD(3840x2160) 30p/25p/24p、フルHD(1920x1080) 60p | フルHD(1920x1080) 60p |
ハイフレームレート | 120fps(1920x1080) 3分まで撮影可能 | |
ファイル形式 | MOV、MP4 | MOV |
映像圧縮方式 | H.264/MPEG-4 AVC | |
音声記録方式 | リニアPCM、AAC、内蔵ステレオマイク | リニアPCM、内蔵ステレオマイク |
動画最長記録時間 | 29分59秒 | |
動画時のアクティブD-ライティング | ○ | - |
手ぶれ補正 | 動画時電子手ブレ補正(フルHD、HD) | - |
内蔵フラッシュ | - | ○ |
防塵防滴仕様 | ○ | |
ゴミ取り機能 | ○ | |
ライブビュー | ○ | |
可動式モニター | チルト | 固定式 |
pictbridge | ○ | |
水準器 | ○ | |
タッチパネル | ○ | - |
顔認識 | ○ | |
英語対応 | ○ | |
Wi-Fi | ○ | - |
NFC | - | |
GPS | - | |
Bluetooth | ○ | - |
USB給電 | - | |
HDR | ○ | |
シングルポイントAF | ○ | |
グループエリアAF | ○ | |
ピクチャーコントロール「フラット」 | ○ | |
ハイライト表示 | ○(機能向上) | ○ |
多重露出 | ○(機能向上) | ○ |
ハイライト重点測光 | ○ | |
Mモード時の感度自動制御 | ○ | |
2点拡大 | ○ | |
ピクチャーコントロール「オート」 | ○ | - |
ホワイトバランス「自然光オート」 | ○ | - |
フォーカスシフト(深度合成) | ○ | - |
電波制御アドバンストワイヤレスライティング | ○ | - |
AF微調節 | ○(AF微調節の自動設定) | ○ |
フリッカー低減機能 | ○ | - |
ライブビュー時のピーキング | ○ | - |
ボタンイルミネーション | ○ | - |
ピンポイントAF | ○ | - |
アッテネーター | ○ | - |
撮像範囲「1×1(24×24)」 | ○ | - |
インターバル撮影の撮影間隔0.5秒 | ○ | - |
サイレントインターバルタイマー撮影 | ○ | - |
メモリーカード | ダブルスロット(SDXC UHS-II、XQDカード) | ダブルスロット(SDXC UHS-I、CFカード) |
幅 | 146mm | |
高さ | 124mm | 123mm |
奥行き | 78.5mm | 81.5mm |
重さ | 915g | 880g |
総重量 | 1005g | 980g |
マグネシウム合金 | ○ | |
モノコック構造 | - | |
バッテリー | EN-EL15a | EN-EL15 |
インターフェイス | USB3.0、HDMI(タイプC) | USB3.0、HDMIミニ(タイプC) |
動画の特徴 | 8Kタイムラプスムービー |