「コントラストAF」「位相差AF」「像面位相差AF」の違い


「コントラストAF」「位相差AF」「像面位相差AF」の違い

オートフォーカスの仕組みと種類「コントラストAF」「位相差AF」「像面位相差AF」の違いについて説明します。

カメラのオートフォーカスには、主に3種類のオートフォーカス方式が使われている。1つは、一眼レフカメラで使われる「位相差オートフォーカス」。もう一つは、ミラーレスカメラやコンパクトデジタルカメラで使われる「コントラストオートフォーカス」。最後に、新しく登場した「像面位相差オートフォーカス」。オートフォーカスの速度や精度は、カメラのアルゴリズムやレンズの超音波モーターの性能などの要素で大きく変わる。そのため、位相差AFはコントラストAFより速度が速く、コントラストAFは遅いなどは一概に言えない。また、オートフォーカスの方式はそれぞれにメリットとデメリットがあるため、どの方式が一番優れているかも一概に言えない。

オートフォーカスの違い
一眼レフの光学ファインダー(OVF)のみ位相差AFに対応。ミラーレスやコンパクトデジタルカメラのファインダーは電子ビューファインダー(EVF)なのでコントラストAFでオートフォーカスを行う。もし像面位相差AFに対応しているカメラなら、コントラストAFに加えて像面位相差AFでもオートフォーカスができる。

位相差(いそうさ)オートフォーカス
位相差AFは、一眼レフカメラのファインダー撮影時に使われるオートフォーカス方式。位相差AFには、セパレータレンズと位相差AFセンサー(イメージセンサーではない)がカメラに組み込まれている必要がある。セパレータレンズにより2つの像を作り、その2つの像からズレを検出、どれだけレンズを移動させてオートフォーカスを合わせるかを位相差AFセンサーが計算してレンズを一気に駆動させる。デジタル一眼レフカメラのライブビュー時は、ほとんどの場合にコントラストAFに自動的に切り替わる。

【メリット】
動いている被写体にもピントを合わせやすい高速オートフォーカス。オートフォーカス時に前後に動かない。

【デメリット】
コントラストオートフォーカスより精度が低い。セパレータレンズと位相差AFセンサーを組み込む必要があるのでカメラが大型化する。オートフォーカスできるエリアが中心部分に限られている。

一眼レフの光学ファインダー
一眼レフの光学ファインダーを覗いた様子

AFセンサーユニット
AFセンサーユニット。一眼レフをミラーアップした状態で上から撮影

セパレータレンズと位相差AFセンサー
AF対応フィルムカメラのAFセンサーユニットを分解して取り出したセパレータレンズと位相差AFセンサー。大きさは1.5cmほどで、これがミラーの下部分に搭載されている


一眼レフの光学ファインダーから位相差オートフォーカスをした動画

コントラストオートフォーカス
コントラストAFは、ミラーレスカメラやコンパクトデジタルカメラ、ライブビュー時のデジタル一眼レフカメラに使用されるオートフォーカス方式。コントラストAFには、セパレータレンズとAF専用センサーは必要ない。レンズを前後に動かして、イメージセンサーが「コントラストが最も高いピント位置=ピントが合っている位置」だと判断してオートフォーカスを合わせる。位相差AFと違い、コントラストAFはオートフォーカス時に画像が前後に動く。

【メリット】
セパレータレンズと位相差AFセンサーが必要ないのでカメラが小型化できる。位相差AFよりオートフォーカスの精度が高い。

【デメリット】
位相差AFよりオートフォーカスの速度が遅く、動いている被写体へのピント合わせが弱い。
(最近のコントラストAFは進化しており、速度が位相差AFと変わらないものや、オートフォーカス時に前後に動く動作がとても小さいものがある)

イメージセンサー
ライブビュー時のデジタル一眼レフカメラ。ミラーアップした状態になり、常にイメージセンサーに光が当たった状態。像面位相差オートフォーカスもこの状態のままでオートフォーカスを行う


一眼レフのライブビューからコントラストオートフォーカスをした動画

像面位相差(ぞうめんいそうさ)オートフォーカス
像面位相差AFは、一部のミラーレスカメラやスマートフォンなどで使用され始めたオートフォーカス方式。位相差AFセンサーではなく、像面(撮像面、センサー面)で位相差AFを行う。イメージセンサーに位相差AFセンサーの機能を組み込んでいるため、セパレータレンズと位相差AFセンサーを搭載せずに位相差AFができる。像面位相差AFは、イメージセンサーの画素の中に、像面位相差AFが可能になる位相差画素を離れて配置して組み込むことで実現できる。位相差画素はまず、レンズから入ってきた光を2方向に分ける(瞳分割)。位相差画素の左側半分を使えなくすることで左側から入ってきた光を検出、右側でも同様の検出を行う。その2つの信号を合わせることでズレを検出し、どれだけレンズを移動されるとオートフォーカスを合わせられるかを計算してレンズを駆動させる。位相差画素は、画像生成には使用されない欠損画素になるために、周辺画素から補間される。
(最新は、画質低下がまったくない像面位相差AFや、位相差画素の機能に加えて画像信号が出力できる画素を使った像面位相差AFなどが登場してきている)
富士フィルムの一部のカメラは、位相差画素で検知した画像のズレを映像化したデジタルスプリットイメージという機能を搭載している。

【メリット】
高速なオートフォーカス。オートフォーカス時に前後に動かない。像面位相差AFが可能なイメージセンサー搭載のミラーレスにマウントアダプターを装着して一眼レフ用のレンズを使用すること高速オートフォーカスができる場合がある。

【デメリット】
位相差画素が画像信号を出力しない欠損画素になる場合は画質が低下する場合がある。位相差AFより測定センサーが小さいために暗所のオートフォーカスに弱い。オートフォーカスできるエリアが中心部分に限られている(位相差AFより広い範囲の場合が多い)。

コントラストAF 位相差AF 像面位相差AF
オートフォーカス速度
オートフォーカス精度
オートフォーカスエリア 全体 中心部 中心部よりやや広範囲
動く被写体
よく使われるカメラのタイプ コンパクトデジタルカメラ 一眼レフ ミラーレスカメラ
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