「EOS Kiss X9i」と「D5600」と「PENTAX K-70」の違い

キヤノン「EOS Kiss X9i」とニコン「D5600」とリコー(ペンタックス)「PENTAX K-70」はバリアングル液晶モニターを搭載したエントリー向けのデジタル一眼レフカメラです。ワンランク上の入門機としてライバル位置にいると思われるのでスペックと外観を比較してみました。キヤノンは「EOS 9000D」がライバル機である可能性がありますが、「D5600」と「PENTAX K-70」はどちらも上部の液晶パネルが搭載されていないので、同じように非搭載の「EOS Kiss X9i」を選びました。

• 「EOS Kiss X9i」はミドルクラスのオートフォーカス性能が搭載されたエントリー向けのデジタル一眼レフカメラです。光学ファインダー撮影時のAFポイントは、「D5600」が39点、「PENTAX K-70」が11点なのに対し、「EOS Kiss X9i」は45点になっています。「D5600」は39点の内の9点がクロス測距点と呼ばれる高精度なAFポイント、「PENTAX K-70」は11点中の9点ですが、「EOS Kiss X9i」は45点の全てがクロス測距点になっています。暗い場所でも正確なオートフォーカスができる範囲を表す「AF検出範囲」は、「D5600」が「EV-1」で、「EOS Kiss X9i」と「PENTAX K-70」が「EV-3」なので、「EOS Kiss X9i」と「PENTAX K-70」のほうが暗所でも正確なオートフォーカスが可能です。ライブビュー撮影時のオートフォーカスは、「D5600」が「AF-Pレンズ」と呼ばれるニコンのレンズのみで高速オートフォーカスができるのに対し、「EOS Kiss X9i」と「PENTAX K-70」は像面位相差AFに対応しているのでサードパーティ製レンズも含めた幅広いレンズで高速オートフォーカスが可能です。キヤノンのライブビューAFシステム「デュアルピクセル CMOS AF」はプロフェッショナルモデルの「EOS-1D X Mark II」にも搭載されているオートフォーカス技術で、光学ファインダー時とあまり変わらないほどライブビュー時でも高速オートフォーカスができ、動画時にも追従性に優れた撮影が可能です。エントリークラスのカメラとは思えないオートフォーカス技術が搭載されたデジタル一眼レフカメラです。

• 「D5600」は小型軽量化に優れたエントリー向けのデジタル一眼レフカメラです。バリアングル液晶モニターを搭載したデジタル一眼レフカメラで世界最軽量・薄型ボディを実現した「D5500」の後継機で、ボディサイズはそのままに「Bluetooth」や「NFC」などの通信機能が追加されています。「EOS Kiss X9i」と正面を比べて、「D5600」は高さが2mm、幅が7mmも小さくなっています。「PENTAX K-70」とは幅が1.5mm小さく、高さが4mm高くなっています。厚みは「EOS Kiss X9i」と比べると6.2mm、「PENTAX K-70」とは4mmも薄くなっており、より深いグリップ部でしっかりとしたカメラのホールドが可能です。質量は「EOS Kiss X9i」とでは70g、「PENTAX K-70」とは213gも軽くなっています。小型軽量化しながらも、高剛性炭素繊維複合材料やモノコック構造により強度も充分あるボディです。低消費電力設計も「D5600」も優れており、「EOS Kiss X9i」は撮影可能枚数が600枚、「PENTAX K-70」が480枚ですが、「D5600」は970枚もの撮影が可能です。小型軽量化されたボディでストレスなく撮影が楽しめるエントリークラスのデジタル一眼レフカメラです。

• 「PENTAX K-70」はミドルクラスと同等の機能を持ったエントリー向けのデジタル一眼レフカメラです。一般的な普及機は小型軽量化が優先されるカメラボディになることが多いですが、「PENTAX K-70」は「EOS Kiss X9i」「D5600」とは異なり、氷点下10度以下で動作保証がある防塵防滴仕様のタフネスボディになっています。4.5段分もの強力な補正効果があるボディ内手ブレ補正も搭載され、この機能を利用したローパスセレクター機能(ローパスフィルターの効果をONとOFFで切り替えられる機能)も搭載されています。光学ファインダーの作りもミドルクラスのカメラのようにハイレベルになっており、「EOS Kiss X9i」と「D5600」はペンタダハミラーやペンタミラーという比較的安価なカメラに搭載される光学ファインダーになっていますが、「PENTAX K-70」はガラスペンタプリズムというミドルクラス機や高級機に搭載されるものと同じになっています。ペンタダハミラーやペンタミラーより明るくヌケがある視野で歪曲などの収差も少なく、視野率は100％で倍率は0.95倍になっています(「EOS Kiss X9i」と「D5600」は視野率95%／倍率0.82倍です)。他にも1/6000秒の高速シャッターや、アウトドアモニター、リアル・レゾリューション・システム、アストロトレーサー(別売りのGPSユニット「O-GPS1」使用時)など「EOS Kiss X9i」「D5600」にはないユニークな機能が多数搭載されています。小型化はキープされていますが、防塵防滴仕様やボディ内手ブレ補正などが搭載されているために質量は「EOS Kiss X9i」「D5600」より重くなっています。エントリークラスのカメラにも関わらず、アウトドアでの撮影に適した全天候型一眼レフカメラです。

製品名	キヤノン EOS Kiss X9i	ニコン D5600	ペンタックス PENTAX K-70
発売日	2017年04月07日	2016年11月25日	2016年07月22日
価格	10万円前後	8万円前後	7万円前後
シリーズ	EOS(イオス) Kissシリーズ	D5000シリーズ	Kシリーズ
マウント	キヤノンEF系マウント	ニコンF系マウント	ペンタックスK系マウント
センサー	APS-C(22.3×14.9mm CMOS)	APS-C(23.5×15.6mm CMOS)	APS-C(23.5×15.6mm 原色フィルター/CMOS)
ローパスフィルター	○(予想)	レス仕様
画像処理エンジン	DIGIC 7	EXPEED 4	PRIME MII＆アクセラレーターユニット
総画素数	2580万画素	2478万画素
有効画素数	2420万画素	2416万画素
最大記憶画素数	6000×4000px
ISO	100～25600		100～102400
拡張ISO	100～51200
連写	6コマ/秒	5コマ/秒	6コマ/秒
連続撮影可能コマ数	RAW:21枚、RAW+JPEG:19枚、JPEG:190枚	RAW(12bit):17枚、RAW(14bit):11枚、JPEG:100枚	RAW:10枚、RAW＋:8枚、JPEG:40枚
AF方式	位相差AF、デュアルピクセル CMOS AF(像面位相差AF+コントラストAF)	位相差AF、コントラストAF	位相差AF、ハイブリッド方式(像面位相差AF＋コントラストAF)
測距点	45点(クロス:最大45点)	39点(クロス:最大9点)	11点(クロス:9点)
測距輝度範囲	-3～18	-1～19	-3～18
ファインダー	ペンタダハミラー (視野率95%／倍率0.82倍)	ペンタミラー (視野率95%／倍率0.82倍)	ペンタプリズム (視野率100%／倍率0.95倍)
モニター	3インチ (104万ドット)	3.2インチ (104万ドット)	3インチ (92.1万ドット)
シャッタースピード	1/4000～30秒		1/6000～30秒
電子先幕シャッター
電子シャッター			リアル・レゾリューション・システム使用時
サイレントシャッター
バルブ撮影	○
セルフタイマー	2、10秒	2、5、10、20秒	2、12秒
撮影枚数	600枚	970枚	480枚
RAW	14bit	12bit、14bit	14bit
JPEG	○
TIFF
RAW＋JPEG	○
動画	フルHD (1920×1080) 60p
ハイフレームレート
ファイル形式	MP4	MOV
映像圧縮方式	MPEG-4 AVC／H.264 可変(平均)ビットレート方式	H.264/MPEG-4 AVC	MPEG-4 AVC/H.264
音声記録方式	AAC	リニアPCM	内蔵ステレオマイク
手ぶれ補正	動画時		4.5段分
内蔵フラッシュ	○
防塵防滴仕様			○
ゴミ取り機能	○
ライブビュー	○
可動式モニター	バリアングル
pictbridge		○
水準器	○		○
タッチパネル	○
顔認識	○
英語対応	○
Wi-Fi	○
NFC	○
GPS
Bluetooth	○
USB給電	-
SDカード	SDXC
幅	131mm	124mm	125.5mm
高さ	99.9mm	97mm	93mm
奥行き	76.2mm	70mm	74mm
重さ	485g	415g	628g
総重量	532g	465g	688g
バッテリー	LP-E17	EN-EL14a	D-LI109
インターフェイス	USB2.0、HDMIミニ(タイプC)		USB2.0(micro B)、HDMI(タイプD)